
今、売るべき?待つべき? 2026年春の東京不動産市場をプロが整理

筆者 石田 典正
不動産キャリア20年
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今、売るべき?待つべき?
2026年春の東京不動産市場をプロが整理
相場上昇が続く東京市場。売却を急ぐべきか、それとも準備を整えて待つべきか。足元のデータと買主心理をもとに、現場目線で分かりやすく整理します。
この記事のポイント
- 東京の不動産市場は2026年春も強含みで推移しています。
- ただし「高く出せば売れる」相場ではなく、売れる物件と売れ残る物件の差が広がっています。
- 住み替え・相続・資産整理など、売却理由が明確な方は今の高値圏を活かしやすい局面です。
- 一方で、再開発や建物改善、権利関係の整理など、待つ意味がはっきりしているケースもあります。
「今の東京は高いらしい」「もう少し待てばもっと上がるのでは」「逆にそろそろ天井では?」。2026年春の東京不動産市場では、このようなご相談がとても増えています。結論からいえば、東京の不動産市況は今もなお底堅く、全体としては強含みです。ただし、“誰にとっても今が売り時”というほど単純ではありません。物件の種類、立地、建物の状態、そして何より売却の目的によって、適した判断は変わります。
だからこそ、感覚的に「今は高そうだから売る」「もう少し上がるかもしれないから待つ」と決めるのではなく、足元の市況データと、実際に購入する側の心理をあわせて見ることが大切です。今回は、2026年春の東京不動産市場を、売買仲介の現場感を交えながら整理していきます。
まずは足元の市況を確認
東日本不動産流通機構(REINS)の公表によると、2026年3月の首都圏中古マンションの成約価格は5,521万円で、前年同月比11.6%上昇しました。成約㎡単価も86.34万円/㎡と前年同月比9.3%上昇しており、上昇基調はかなり鮮明です。さらに東京都区部では、成約㎡単価が136.10万円/㎡、前年同月比11.8%上昇という高い水準が続いています。昨年までの感覚で売出価格や購入予算を考えると、現実とのズレが生じやすい相場といえるでしょう。 [Source]
首都圏中古マンション成約価格
5,521万円
前年同月比 +11.6%
首都圏 成約㎡単価
86.34万円/㎡
前年同月比 +9.3%
東京都区部 成約㎡単価
136.10万円/㎡
前年同月比 +11.8%
売り出し価格はさらに強気
一方で、注意して見ておきたいのが「売り出し価格」の動きです。REINSによると、首都圏中古マンションの在庫価格は6,354万円で、前年同月比30.6%上昇しています。つまり市場には、かなり強気の価格設定で売りに出されている物件が増えているということです。これは売主様にとって追い風にも見えますが、「高く出せばそのまま売れる」という意味ではありません。売れる物件はしっかり売れる一方で、価格と条件のバランスが悪い物件は反響が鈍く、価格調整に入るケースも増えています。 [Source]
土地価格も東京は上昇基調
土地価格の面でも、東京は依然として強い動きが続いています。2026年の地価公示では、全国平均で全用途・住宅地・商業地ともに5年連続で上昇しました。特に三大都市圏では上昇幅が拡大し、東京都では区部の住宅地が前年比9.0%上昇、多摩地区でも3.9%上昇となっています。都心部だけでなく、利便性の高い住宅地や駅徒歩圏の評価が引き続き高いことがうかがえます。実際の売買仲介の現場でも、「駅距離」「再開発」「生活利便性」がそろったエリアでは、買主の反応がはっきり強い状況が続いています。 [Source] [Source]
人口流入も、東京市場の支えになっている
需要の土台となる人口の流れも、東京にとっては大きな追い風です。総務省の住民基本台帳人口移動報告によると、東京都の2025年の転入超過数は6万5,219人でした。前年より縮小したとはいえ、依然として全国最多であり、東京圏全体でも転入超過が続いています。価格が高騰しても、なお人が集まる都市であることは、売却を考えるうえで大きな安心材料です。ただし同時に、都心部一辺倒ではなく、価格とのバランスを見て周辺区や多摩エリアに目を向ける買主も増えています。今後は「東京ならどこでも強い」というより、「東京の中でも選ばれるエリアがより明確になる」と考える方が現実的です。 [Source] [Source]
今は「売るべき」か、それとも「待つべき」か
では、今は売るべきなのでしょうか。それとも待つべきなのでしょうか。結論からいえば、住み替え・相続・資産整理など、売る理由が明確な方は、今の高値圏を活かして動く選択が合理的です。市況が良い局面では、先送りによって得られるかもしれない利益より、タイミングを逃す不確実性の方が大きくなることがあります。とくに駅近・築浅・管理状態の良いマンション、あるいは需要の厚い住宅地にある戸建や土地は、今のうちに適正価格で売り出すメリットが大きいでしょう。
一方で、「急いでいない」「使う予定がある」「条件が合わなければ売らなくてもよい」という方まで、無理に今すぐ動く必要はありません。ただし、その場合でも現在の相場を把握しておくことはとても大切です。相場を知らないまま数年過ごしてしまうと、売り時を逃してしまうこともあるからです。
今売る選択が向いている方
- 住み替え時期が決まっている
- 相続・資産整理など売却理由が明確
- 駅近・築浅・人気エリアの物件を保有している
- 高値圏の今、売却益を確保したい
待つ選択が向いている方
- 売却を急いでいない
- 再開発・駅前整備など価値向上が見込める
- 相続登記・測量など事前整理が必要
- 少し準備することで条件改善が期待できる
買主心理と住宅ローン金利も無視できない
売主様がもうひとつ意識しておきたいのが、買主側の心理です。2026年4月時点の主要な住宅ローン変動金利は0.6〜0.9%台で、諸費用を含めた実質金利でも約0.6〜1.1%が目安とされています。絶対水準としては依然低いものの、買主は以前より金利上昇を意識するようになっており、「借りられる額」より「無理なく返せる額」を重視する傾向が強まっています。つまり、相場が強くても、何でも売れるわけではありません。管理費や修繕積立金が重い物件、リフォーム費用が読みにくい物件、立地に弱さがある物件は、価格設定を誤ると反響が鈍くなりやすいのです。相場が良い今こそ、「高く出すこと」と「売れること」のバランスが重要になります。 [Source]
「待つ」なら、待つ理由を明確に
「待つ」という判断にも意味があります。ただし重要なのは、何となく期待して先送りするのではなく、待つ理由が明確であることです。たとえば、今後1〜2年の間に大規模修繕や再開発、駅前整備などによってエリアや物件の評価が上がる可能性があるケース。あるいは、相続登記、測量、空き家の整理、簡単な補修やクリーニングなどを先に進めた方が、売却条件を改善しやすいケースです。このように、“より良い条件で売るための準備として待つ”のであれば意味があります。逆に、何も変えずに「もっと上がるかもしれない」という期待だけで待つのは、あまりおすすめできません。
よくあるご質問(Q&A)
Q1. 今売るなら、マンションと戸建のどちらが有利ですか?
一概には言えませんが、東京では駅近・築浅・管理状態の良いマンションは引き続き需要が強く、売却しやすい傾向があります。一方で、需要の厚い住宅地にある戸建や土地も、立地次第では十分に高い反応が期待できます。大切なのは種別よりも、立地・状態・価格設定のバランスです。
Q2. 査定額が高い会社に依頼すれば、高く売れますか?
必ずしもそうではありません。査定額は「売れる価格」ではなく、「売り出しの目安」として提示される場合もあります。大切なのは、その価格でどれくらいの期間で売れるのか、周辺の競合物件と比べて妥当かどうかまで、具体的に説明してくれるかどうかです。
Q3. まだ売るか決めていませんが、査定だけお願いしても大丈夫ですか?
もちろん大丈夫です。むしろ「今すぐ売るかは決めていないが、今の価値だけ知っておきたい」というご相談は多くあります。現在の相場を把握しておくことで、住み替え、資産整理、相続対策などの判断がしやすくなります。
Q4. 「待ったほうがよい」ケースはどんな場合ですか?
再開発や駅前整備、大規模修繕などで価値向上が見込める場合や、相続登記・測量・残置物整理などを先に進めた方が売却条件が改善する場合です。根拠なく待つのではなく、待つことで何が良くなるのかを整理して判断することが大切です。
Q5. 売却前にリフォームはした方がいいですか?
必ずしも大規模なリフォームは必要ありません。費用をかけても売却価格に十分反映されないことがあるためです。まずはクリーニング、整理整頓、簡単な補修など、印象を改善しやすい部分から整えるのがおすすめです。物件によっては現況のままの方が良い場合もあります。
まとめ
2026年春の東京不動産市場を一言でまとめるなら、「追い風は続いているが、売れ方には差が出る相場」です。相場全体は強い。地価も上がっている。人も集まっている。けれど、売出価格の付け方を間違えると、良い市場でも売れ残ることがある。だからこそ今は、「売るか、待つか」の二択で考えるのではなく、“いくらで、どの戦略で、いつまでに売るのか”を具体化することが大切です。当社では、単に高い査定額をお伝えするのではなく、周辺成約事例や競合物件の動き、買主層の反応まで踏まえて、現実的な売却プランをご提案しています。今すぐ売るか迷っている段階でも構いません。まずは現在の市場価値を把握するところから始めてみてはいかがでしょうか。
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